ムーンライトノベルズ感想:1件 (NL)『Overkilled me』

2019年7月27日土曜日

ムーンライトノベルズ感想

t f B! P L

京アニの事件があって、ノゾタタ状態だったけれど
年もとったことだし、また日々記録していこうと思います。



ムーン感想(NL) デスループのゾンビ世界でサバイバルラブ

すごいネタバレあり

もくじ


  1. Overkilled me
長編一作だけ。いつも通りネタバレもしてるんで、未読者は即攻読んだ方が良いです。タグもネタバレだから、いやな人はみないように。

    感想

(なろうの女性向け18禁サイトのムーンライトノベルズ)


総評 <とても面白い>
作者:薊野ざわり 全86話

【あらすじ引用】何度も何度も私は死ぬ。死ぬことで、覚えて、死ぬことで、進む。いつか、このループを抜け出せるのだろうか。主人公・磯波美鹿は、目が覚めたら知らない倉庫で拘束されていた。理由は思い出せない。似ているけれど、どこか違う世界。襲撃者に、脱出できない病院、謎の軍人。戸惑いながら、何度も死を迎え、ミシカはこの世界の脱出を目指す。

【バイオハーザド的始まりからはじまるサバイバルラブ】
 主人公は地下に括りつけられて、即死敵がすぐ来る所から始まる。ここから出られるまで、何度も死ぬ。まず味方を見つける所から始めなければ……しかも運が悪いと敵に回ってしまう。うかつに外に出ても撃たれる。この病院はまさにバイオハザードなのだ。主人公はoverkillされながら、戻りつつ進んでいく。
 最初に出てくるのが少女なのはウォーキングデッドっぽい。だが主人公はデスループしてるし、自分が記憶があるのに周りは初対面というのはゲーム的。そして恐ろしいことに、ループ開始地点は常に一緒なのである。悪夢。廃墟の敵をくぐり抜けるラストオブアスでも、ロードはセーブした所からなのに!つらい!

      
めっちゃゾンビゲーしたくなる…

 デスループをムーンで初めて読んだ。(なろうでもデスループはこの時点で未読)端的にめっちゃ面白かった。最初はゲーム的ドキドキで読んで、次第に恋愛どうなるのって読んで、強力な敵役が出てきて、最後は人間の力強さみたいな。主人公の人間力みたいな話になってきて、ラストはもの悲しいけれど、ここで切るしかないだろうなってとこはよくわかるので、納得した。というかこういうエンディング好きだわ。大団円ってお話が閉じちゃうよね。この無限ループのお話として、これがいい。

 話の展開も面白くて、同じような女子向けデスループもの延々と読みたいなあと思ったけど、そんなないんだよね…人生2度目とかはあっても。多分常に緊迫してなきゃいけないから、作者も気を張るんだろうなあこういうの。ゲーム的ステータスとかなくて、ファンタジー薄めなヤツあったら読みたい。教えて下さい。ループで検索すると、グループが引っ掛かるんだ…この作品架空日本が舞台だしね。何かこういい。完全海外ドラマではないけど程々異国で、想像しやすい。


【キャラクターがいい】
 常に味方である軍人柏木リアン(衛生兵)は、白人&アジア系ということで勝手にキアヌ・リーブスを想像してしまうんですけど(瞳は緑だけど)、萌えですよねー。ここで完全欧米人顔じゃなかった事もなんかいいわ。
彼については抱いてくれ以外に言う事はない。ずっとファンタジーで騎士とか読んでいたけど、やっぱ軍人だわ。ごつごつブーツだわ。って思いました。冷静で理屈っぽくて恋も失恋もして普通の人生を送ってきて、いそうで会った事ない職業軍人最高かな

最初に結ばれたルートで、彼は酷い形で主人公を失ってしまうんだけど、それでも悲しみをかかえたまま生き抜いていくんだろうなあと想像出来る地の足のつきっぷりがいい。変に薬とかにいかなそうだし(アメドラあるある)自殺もないだろう。そういう人物だからこそ、苦しみの背負い方が悲哀をさそう。

 ループしてる世界観だけれど、アニメっぽくないし、キャラも地が付いた人ばかり。一人狂人がいますけれど、彼はアリだな。(笑)

初期メンバーの塩野は、読んで序盤ショックを受けたキャラなので何か背景が気になるなあ。こういう見かけで、性欲強かったりメンタル弱かったり、離婚してたり、なかなか複雑な人だよね。みかけ細身で可愛い系かと思うんだけど、その辺りもリアルに感じてしまった。

他の軍人ラテン系ホセも軍人女性キャラ二人も柿沼医師も、一般小説に出てくる人物描写っていうんですか、何か地味な描写だけどいそうなキャラで各自感じもよかった。

最後に主人公ミシカ。彼女はいいなあ。常に冷静でタフ。投げやり期や鬱期が描写される中ではないからね。かつてないぐらい重い(笑)愛を乞う期はあったけど。ヒステリーでもない。覚悟完了した彼女はスーパーヒロイックヒーローだけど、その前の段階でも充分タフだった。「前向きでいなきゃ!よし!」っと自分を鼓舞していくポジティブガールという訳じゃなくて、冷静に物事を観察して、静かに何度でも立ち上がっていく感じが、こう非常にイイです。感情的に過剰すぎないヒロインは、最終的にタフガールであるアメドラとかでも珍しいんだよ…。
正直ぱっと思い浮かぶ人、プリズンブレイクのサラぐらいかなあ。最初の方は冷静に迷いつつ協力してくれたよね。。。


【展開がいい】
 最初は病院からすら出れない。ヘッドショット、少女による惨殺など。リアンを失って塩野と身体を重ねた後に駐車場で死。次は自分が塩野に撃たれたあげくレイプ、やっと脱出出来たのに病院でクラッシュ。

次周にホセ初登場。一人残った主人公はついにリアンと脱出。念願の日常生活!奉仕活動の内容が軍用犬のお世話とか、いいリアリティを感じてうまいなあと思う。サバイバーのSNSに参加するとかもよい感じ。旭日独立軍とかのネーミングもいいよね、ありそう。花火で初キスキター。そして楽しい生活を味わわせてからの49話。こんなん叫ぶわ。

久しぶりの地下スタートには伊丹付き。悪意のある狂人がいるパーティーだとこんなに道中が荒れるんだなあという。すーぐレイプしようとするし。ホセの罵倒心地いい。「レイプ野郎」まさに。そんな中塩野の結婚指輪の話が明かされたのは不幸中の幸いでした。塩野さん、潜在的にミシカがタイプだったんだろうなあ。タフガールに甘えたいタイプかー。この周のミシカ、覚悟完了の片鱗が見えていますね。
伊丹のイチモツ引きちぎり。状況に流されたとかじゃなく、自分から追い掛けて信頼させてやってるところ、素晴らしいよね。伊丹に対する感情も、最初は「やったぜ!」なんだけど、周回で読者も変わっていくんだよね…。そういう周回で違う印象を受けさせるのが上手い。前回恋人関係だった事で、リオンと上手く交流出来ない主人公。やや投げやりぎみ。でもリオンは相変わらず助けに来てくれるし、
なんていうイケメンぶりなんだ。
 同情からでも抱いてくれるしさー。前回自分から口説いてきた時と比べ、リオンちょっとこんな環境で可哀想だなと思ってしまったが、でも包容力が高いから仕方がないね!ミシカだって最初塩野に包容力見せて抱かれたし、包容力高いもん同士ってことで。(?)
またもや悲しいエンドを迎えてしまい、本編のエンドへ…。リオンってこんな状態でも、色々考えて情をかけて全力で助けてくれるとか
なんていうスーパーヒーローなんだ。。。

そして主人公が覚悟完了ヒーローへ……
ここで本編は終わってるんだなー。どうも番外編も印象が強くて。本編終了後もいいよねえ。ミシカが強いのは異論なしだけど、人間強度的にはリオンの揺るぎのなさが勝つかも。


【妄想が捗る】
 この話って、作者がタグバレしているように世界の謎は明かされません。主人公にとって鬼のような運命だけど、これを理由つけてバラすとファンタジー系だったり、SF系だったりどっちかに寄ってしまうと思うので、なくていいかな派です。あくまで現実世界の中で起こった出来事だから、すごく掴まれたので。
 主人公が世界線を移動して、米国領になった日本にいる謎とかもどういう理屈をつけるのか考えてもいいけど…まあいいかなって。(笑)米国領になった日本って事で、色々リアンの設定もリアリティ出るし。

本当に頭の中でシミュレーションしてるにしては、3人の能力者が重なりあってるし…頭の中で3人で同調している電脳世界の話なのだろうか?何十年単位のリアルシミュレーションか…(考えてしまってる)
主人公にとって、実際のリアンがいない電脳世界(よかった、苦しむリアンも恋人のリアンもいなかったんだね!)と、自分たちだけが繰り返している現実世界とどっちに救いがあるのかと考えると、現実世界を推したいな。うーん。他の二人もそうだろうな。

 主人公が天寿を全うしても、あくまで起点はあの地下室ってホント鬼のような運命です。気が狂うよ。普通、ループものって救われると思うからね。でも人生ってそういうものですよ感がすき。苦しみの中に、幸せを見つけて生きるしかないのだろうなあ。


 もう一人アダムがいるという……なんかいいよね。彼と結ばれないのが、何か萌え。最初はただの地味な塩野さんが、展開により超怖くなるのでずっと信用できなかったのだが、ヤツが現れた瞬間全く気にならなくなった。(笑)塩野もだいぶやばいんだけど、ずっとヤバいヤツよりマシって思ったのすごい。
三人目は、覚悟して彼の人生を生きて、かつ愛を知っているからまああんまり関わらない感じ。
やっぱり、もう一人の主人公って、自分のヒロインを奪われたままあがこうとする伊丹なんだろうな。彼視点の話は、惨めで身勝手で悲しくって病んでてよかったなあ。ある意味純愛だしね。純愛相手にヘッドショットされるとか(笑)

こうやって最初は狂人コワ!って悪役だった相手に、違う感情を持ってしまうのがとっても楽しかったです。伊丹視点の話は(本編終了後の世界)、ホセが主人公を敵視し伊丹に優しいとか、行動によって微妙な違いが生まれるんだなーってのも面白かった。はー。

うん。褒めてばかりで纏まりがいまいちだけどこれで。読んでから3ヶ月ぐらい経ってるので、ちまちま読み返したんだけど気になった点は別になかったなあ。やっぱり面白いし萌えるなーという感想。
悪い所は、もっとこういうの読みたくなる衝動にかられて、読む物がないことでしょうかね。






人気の投稿

自己紹介

自分の写真
ムーンライトノベルズ感想だけ、ノゾタタに隔離しようとしたけど、100記事くらい溜まってから考えます…
Amazonリンクが切れて、無から語ってるページ増殖中。随時、訂正したい所存。
色々エラー出てるので、ミラーサイト(健全記事のみ)作ったりするかも。

このブログを検索

ニコニコがなくて不便なとこ

QooQ