なろう作品感想：２件（NL)『傍観者の恋 』『とんだ逆転劇（仮）』

なろう感想（NL）幼馴染み契約結婚もの & 片思い逆転学生もの

もくじ

1. ★傍観者の恋
2. ★とんだ逆転劇（仮）

　感想　（すごいネタバレあり）

総評　<とても面白い>

★傍観者の恋
作者：ナツ　全12話

【あらすじ引用】
契約に基づいた婚姻を結び、私は目の眩むほどの幸福と不幸を同時に手に入れた。 夫が愛しているのは、私ではない。私が彼を愛していることにも、気づかれてはならない。 あくまで傍観者として、私は夫の禁断の恋を見届けなければならない。 そんな夫婦の物語。

【とても好きな話】
読みやすい短めの話だけれど、切なさと愛おしさが詰まったとても良いお話。すごくしっとりしている。わりと散見するテーマの「契約結婚」なのだが、何が良いって、ヒーローがヒロインをドアマットしない感がとっても良い。何か、敬意って大事だなと思った。

契約結婚（ヒロインの片思い）なので、切なさは溢れている。ヒロインが本音を出さないでクールに振る舞っている所が本当いじらしくて可愛い。私はこういう理性で感情を抑え切っているタイプに弱いです。
みえみえチラチラだと駄目なんだ。いじらしさは隠し切ってないと。

こういうヒロインに対するヒーローは、えてしてボンクラか無神経になってしまうものです。相対してしまうからね。
だけどこのヒーローは愛する相手がいながらも、絶妙にラインを踏み越えずマットしませんでした。やっぱこの度合いってすごく重要だと思った。例えば新居に入る時、姉と一番に入ってしまったらドアマットヒーローポイント１０万ぐらい叩き出しただろうけど、ちゃんと主人公に好意と敬意を持って、ヒロインを抱えて入ってくれました。
< 　よっ それでこそヒーロー！  （モブ的かけ声）

ヒーローがヒロインを大事に思っているのが、ちゃんと伝わってきてよかったなあ。切ないけどドアマットしない、よい話だった。

【あえていうならインセストがちょっと】
ゆるされざる恋企画というテーマにのった話だったらしく、ヒーローは実の姉にガチ恋しているという設定。ちょっとそこが重すぎた気がしないでもない。一緒に暮らした実の姉を愛してしまうのは、かなりのラインをぶち越えた感情ですよね。しかも他の男兄弟たちは健全な妹愛。兄弟たちはラインを越えない中一人越える、そこも禁断の愛感が増してる。
この川を越えたヒーローは、簡単に翻るものではないと思う。
ヒロインを気になって愛しく思う気持ちはとても自然だったけれど、姉への気持ちはマジ恋だったのか、それは昇華するものなんだろうか、一生捨てずに持ち続けて悶々とするものでは…とか色々考えるとちょっと設定重すぎたなと。
最初から下の２人だけ双子設定とかだったら、一心同体故の唯一愛とかで納得できたような気がする。
ヒロインと姉の絡みは好きでした。
あの寝室のシーンとか名シーンだよね。
意外と、ヒーローは思い込んでしまった家族愛で、姉の方が精神的にはヒーローに本恋（ただし精神的に大人な為達観済み）とかの方があり得る気がしてならない。

本作、ムーンに番外があるので何か嬉しかった。

書籍化済。本編短いから、書き下ろし多いのかな？


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総評　<ふつう>

★とんだ逆転劇（仮）
作者：KEITA　全24話

【あらすじ引用】
一途で猪突猛進だけど悪い意味で恋に盲目な女子と、クールドライだけど実は臆病策者な男子の、ちょっとした恋愛もの。

【現代恋愛学生ものはいいね…】
絶対数が少ないけど、なろうで乙女ゲーでもない普通の学生ものを読むと「いいね…」ってなるのなんでだろう。（ヒント：年）
ある一定の年を越えると、現代学生恋愛メインのものは必要としなくなって、だからこそ異世界ファンタジーがもてはやされているんだろうけど、ネット小説だと読むの普通に楽しい気がする。漫画だと完全同年代向けだからキツいのかな？制服は萌えるんだけどね。

【ヒーローはモテモテクール眼鏡。なおダサイ模様】
ヒーローはひえーって感じのアホ男子なんだけど、ステータスはクール眼鏡なのが、ちょっと珍しい。これで女食いまくりなのって、すげえ残念だと思う。なんか。（笑）
というかとことん残念だと思う。

このステの人って、学年１美人の才女と１年ずつ付き合ってたり、すごい年上の美女とつかず離れず付き合ってたりする、所謂美食タイプで、女を数ヶ月毎に次々と変えて行く三流の所業をしないイメージ。（偏見）
だって頭いい人ってそうじゃん……
しかも中学生だから余計ダサイよな……
本当にヒーローは頭が悪くて、情けない役回りなんで見かけとのバグなんだけどねw
ヒロインと会話すらまともにしない無口男で、見かけクール眼鏡なのに女だけチャラ男並に変わって、しかも相手の質が悪いとか、
本当に全然ダサイな何か……
調子に乗っていたのか…だろうな…
いやーなんというか、「なんかダサイ」という言葉がぴったり。

ヒロインが片思いを封印して、高校生活を全力で楽しんでいるし、半年間それを見せつける所がすごく良かった。青春だねえ。（ヒーローいないけど）
ある意味、ざまあというか見返しはきっちりしてる。
しつこい片思いのヒロインだと、重くて切ない感じになりがちだけど、この子は猪突タイプで全力で新生活を送った結果メモリからヒーローが抜け落ちる（故意）、というのは明るくてよかった。
このヒロインモテそうだなあと思った。なんか。

【やっているかやってないかそれが問題だ】
あまりにも女性関係がチャラ男ムーブだったので、ラスト土下座で付き合っちゃうのちょっとがっかりした。
でもこのヒーローは私、最終的に許せました。

この手の『幼馴染みにずっと片思いして恋心を黙殺され、向こうは女を切らさずこっちが離れた瞬間豹変して丸め込まれる（or押し倒される）みたいな話』、なろうでもムーンでも読んだことはある。要するに片思い系の話ですね。
その場合、ほとんどが女履歴にイライラするので微妙な気分になることが多い。

このヒーローの場合、ずっとヒロインが人生の中心にいて、ヒロイン以外は当て馬だった訳です。自滅して見事にぼろぼろになるけど、それまでを許せるかどうか。
高校時代なんか１週間レベルで女が変わっていたとか、
この性豪ぶりはなあ……と微妙な気持ちになっていたんだけど、どうも最終的に童貞なんじゃないかという疑惑が濃厚に。
（私調べ）
ムーンの方でヒロインを寮に連れ込む関連短編があるんだけど、全然ムーン仕様じゃなくて抱きしめてるだけなんだよね。ヒロインだけ特別奥手という可能性も３％ぐらいあるけど、９７％童貞な気がしたんだ。
違ったら、それもショックなので自分の勘を信用することにしますわ。
どんだけ女はべらそうが、イキってようが童貞だったら全てが許される。しかもクール眼鏡。これはダサイ。

童貞は恋愛において唯一全てを許す神の一手。
はっきりわかんだね。
（最低な締めだわ……）